長崎県の児童相談所にあたる長崎こども・女性・障害者支援センター(長崎市)が昨年、母親から虐待を受けて児童養護施設に入る少女(10代)の居場所を、誤って母親に伝えていたことが分かった。事務手続きのミスが原因といい、県は少女に謝罪した上で、別の施設に移ってもらったという。
センターは昨年7月、少女の施設入所にかかる保護者負担金を決めるため、母親に収入などを確認する書類を送付。その一部に、少女が入所する施設の名称が記されていた。同月、母親からの申し出により発覚。センターは昨秋、少女の同意を得て施設を変更する措置をとった。
少女は母親から身体的・心理的虐待を繰り返し受けたとして、2015年9月に県内の児童養護施設に入所。センターは昨年7月、入所措置の更新をするため長崎家裁に家事審判を申し立てた。少女は、母親に入所施設を知られることへの不安があると主張していたという。
県こども家庭課によると、送付書類には入所施設名が印字される仕様だった。虐待など配慮が必要な事案では手作業で施設名を隠して送っていたが、職員の間でうまく伝わっていなかったという。県は再発を防止するため、施設名がわからないよう記号で表記することにしている。