昨年末、米国の大学生と対戦したアイスホッケー韓国女子代表=ロイター
2月の平昌五輪に向け、韓国と北朝鮮が女子アイスホッケーの南北合同チーム結成で合意したことについて、スポーツ庁の鈴木大地長官は18日の定例記者会見で「決められたルールの中で戦いが行われるべきだ。すでに決まっていたことが覆されたら、現場で混乱を来すこともあるかと思う」と懸念を示した。
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平昌五輪に登録できるのは1チーム23選手。北朝鮮は10人程度を出場させたい意向で、韓国チームに加入させる案が出ている。その際、登録人数の上限を撤廃し特別枠を設ける可能性が指摘されている。特定のチームが優遇され、公平性を確保できなくなる恐れから、鈴木長官は「ルールで定められた人数内で戦うべきでは」と注文をつけた。他の出場チームからも合同チーム結成への疑問の声が上がっている。
平昌五輪では、日本と韓国が互いの1次リーグ3戦目にあたる2月14日に対戦する予定だった。女子日本代表の山中武司監督は17日、個人的な見解として「スポーツの祭典に政治は絡んでほしくない」とした上で「韓国代表の監督を思うと、この時期に選手を代えられるのは同情するところがある」と話した。
南北合同チームは、1991年に千葉市で開催された卓球の世界選手権で初めて結成されたが、今回五輪で出場すれば史上初となる。ただ、開幕1カ月を切った段階での唐突な合意に韓国の監督は困惑しており、連係不足も予想される。最新の世界ランキングでは日本の9位に対して、韓国22位、北朝鮮25位。競技面での課題は多く、劇的な競技力向上も見込めないとみられる。
合意内容は、20日にスイスで行われる国際オリンピック委員会(IOC)などの会合で正式決定する。(野村周平)