宇野昌磨は弟の樹さん(左)と小さい頃から仲良しだった(家族提供)
(17日、平昌五輪フィギュア男子フリー 宇野昌磨が銀)
宇野昌磨「ゲーマーになっていたかな」 野菜嫌いの素顔
宇野昌磨「演技も、生活も、ぐうたら生活」 五輪を満喫
宇野昌磨、輝く銀 サッカー少年からフィギュアへ転向
平昌での宇野昌磨、緊張をコントロール 佐藤信夫の目
フィギュアスケート男子の宇野昌磨(トヨタ自動車)の心の支えは、四つ下の弟・樹(いつき)さん(16)だ。いま、名古屋市内の実家近くに部屋を借りて2人で暮らす。「あまり人と接しない」という宇野が、心を許せる相手だ。
昌磨が高校生の頃まで、試合にはいつも樹さんがついていった。試合では衣装を着る直前までそばにいて、ウォーミングアップも一緒にやる。試合会場のロビーでゴム製のボールでキャッチボールをしたり、サッカーをしたりするのがルーティンだった。昌磨がボールを樹さんの体に当てたり、変な方向に投げたりしてからかうことで、緊張がほぐれた。
いまでも樹さんが海外の試合についていくこともある。日本よりも時間が多く取れる海外では、樹さんは貴重な遊び相手だ。インターナショナルスクールに通う樹さんが現地で通訳を兼ねることも。「言葉を交わさなくても、昌磨がどんなことを考えているのかがわかる」と樹さん。スケートの話はほとんどしない。昌磨も「一緒にいると落ち着く」と話す。
小さい頃から面倒見の良い兄だった。生まれたばかりの弟を、4歳の兄がお風呂に入れたり、あやしたり。練習する以外は、どこへ行くにも一緒だった。2年前に樹さんがひざの手術で入院したときも、昌磨がベッド横に座って付き添った。
性格は正反対だ。引っ込み思案で人見知りな兄と、社交的で学校では生徒会役員を務める弟。弟は同じスケートリンクでアイスホッケーにのめり込んだ。いまはフィールドホッケーをやり、モデルもこなす。生徒会役員の選挙では、兄にビデオメッセージを送ってもらった。
樹さんは16日にあったショートプログラムを平昌五輪の会場で見守った。「昌磨にかなわないところは努力。負けず嫌いすぎて負けたら努力をめちゃくちゃする。練習してへとへとになって帰ってくるところも知ってるから」。自慢の兄だ。(野田枝里子)