地球温暖化が進むと、過去に冬季五輪が開かれた都市の多くでは、再び開催することが難しい――。そんな予測をカナダ・ウォータールー大の研究チームが発表した。
同チームによると、開催地の2月日中の平均気温は少しずつ上昇。1920~50年代は0・4度だったが、60~90年代は3・1度に上昇。今世紀末には7・8度に上がる可能性があり、雪不足などが懸念される。
次回の開催地の北京(中国)と過去に冬季五輪が開かれた計21都市について、「開催可能な気候」「高いリスクがある」「開催に適さない気候」に分けて検討した結果、温暖化の原因となる温室効果ガスの排出が大きく減らない場合、今世紀末の「開催可能」は、ソルトレークシティー(米国)やアルベールビル(フランス)、札幌と北京、カルガリー(カナダ)、コルティナダンペッツォ(イタリア)、平昌(韓国)、サンモリッツ(スイス)などの8カ所にとどまった。
「高いリスク」は、レークプラシッド(米国)とリレハンメル(ノルウェー)の2カ所。「開催に適さない」とされたのは、長野やトリノ(イタリア)、ソチ(ロシア)、インスブルック(オーストリア)、オスロ(ノルウェー)、サラエボ(当時はユーゴスラビア)、スコーバレー(米国)、バンクーバー(カナダ)、シャモニー(フランス)、グルノーブル(同)、ガルミッシュ・パルテンキルヘン(ドイツ)などで、「高いリスク」と合わせて計13カ所での開催が困難になる。ただ、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」の目標を達成すれば、長野やトリノなど4カ所は「開催可能」になるという。
同大のダニエル・スコット教授は「冬のスポーツが盛んな地域の気候はこれまで通りでなくなる。温暖化が加速すれば、開催地はさらに減るだろう」と指摘している。(戸田政考)