著者の小野信爾さん=京都府宇治市
占領期、朝鮮戦争反対のビラをまいて逮捕され、1年2カ月余の獄中生活を送った大学生の日記が今月、刊行された。「京大生 小野君の占領期獄中日記」(京大学術出版会)。戦後ながら言論の自由が保障されないなか、精いっぱい自分で考え行動した青年の姿が伝わってくる。
著者は中国近代史研究の小野信爾(しんじ)・花園大名誉教授(87)=京都府宇治市。日本近現代史の研究を進めている西山伸・京大大学文書館教授や宇野田尚哉(しょうや)・大阪大大学院教授(日本思想史)が当時の社会情勢について解説を書いている。
京大文学部在学中の1951(昭和26)年2月22日だった。前年勃発した朝鮮戦争反対のビラを警察署の近くで配り始めると逮捕された。「占領目的を妨害する行為」に問われ、大阪にあったGHQ(連合国軍総司令部)の軍事裁判所で裁判を受けた。
判決は重労働3年罰金1千ドル…