(2日、川崎1―1湘南)
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後半45分、湘南のカウンターが川崎をひやりとさせた。1人で抜け出した野田がシュートを放ったが、GKにはじかれた。「そんなに甘くなかった」。惜しくも勝ち越せなかった場面を、曺貴裁監督が振り返った。
攻撃力を誇る昨季のJ1王者を相手に、難しいゲームを乗り切った。
細かいパスワークで崩されそうになれば、割り切ってゴール前に引いて跳ね返す。それでも、身上の相手陣から重圧をかける守備はやめなかった。チャンスと感じれば、全員で出ていく。さじ加減にすきはなかった。
降格を味わった2年前のJ1は川崎相手に4―4、2―3と派手な撃ち合いを演じた。勢いに任せた果敢なスタイルは見る者を引きつけたが、不安定さも同居していた。
攻めと守り、緩と急、速攻と遅攻……。「どちらか一方だけをやっていればいいという時代は終わった」と監督はいう。毎年、半数近い選手を入れ替えながら戦い方の幅を広げてきた。それが先制を許しながらCKから1点を奪う大人びたドローに凝縮されている。
引き上げる選手には高ぶりはなかった。「アウェーで勝ち点1は悪くない。でも悔しさがある」。2年前も同じピッチに立った菊地は、淡々と語った。
曺貴裁監督はこうもいっている。「すべての力を高めようとすると、特徴がなくなってしまう」。弱まった湘南スタイルが、進歩を物語っている。(潮智史)
△曺貴裁監督(湘) 「現代のサッカーはベストが出せなくてもベターを求められる時代。そういう意味で成長しているのかなと思う」
△松田(湘) プロ入り初得点。「タイミングよく、思い切ってゴール前に入れた。わかっていたけど、川崎からはなかなかボールを取れない」
△岡本(湘) 「勝つつもりで来ていた。負ける気もしなかった。もっとボールを動かさないといけない」
△菊地(湘) 「DFラインを下げずに相手にチャンスを作らせなかったのは進歩したところ。勝ち点1は悔しい」