力投する先発の千賀=時事
(3日、日本2―0豪州)
侍J、豪に2―0 強化試合 先発・千賀が6連続奪三振
千賀の剛球は打球を前に飛ばすことさえ許さなかった。「開幕投手」で2回をぴしゃり。全6打者を三振に切って捨てた。「なかなかできることじゃない。まぐれが起きたと思います」。照れたように笑った。
シーズン開幕まで1カ月近くある。この時期に最速152キロ。直球の大半が150キロ台だった。観衆の反応を感じる余裕もあり、6人目は「狙おうと思いました」。最後は習得中の速いスライダーで、バットを空転させた。豪州は国内リーグ所属の選手が多く格下といえるが、見下ろすように投げた。
昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本代表で唯一のベストナインに。だが、敗れた準決勝の米国戦では救援で負け投手になった。そこまでチームは無敗で「唯一、負けがついた人間。どうにかしたかった」。借りを返したい思いがあった。
ソフトバンクの工藤監督はキャンプ中の2月15日に千賀を呼び、初のシーズン開幕投手を通達した。昨季最多勝の東浜らもいる中で、「もうワンランク上の姿を見たい」と願っての指名だ。千賀自身もオフに将来的な大リーグ挑戦の希望を明らかにした。今季はもう一つ、上を見ている。
「いいスタートが切れた。ここから先、落ちていかないように」。他を圧倒する投手へ――。その予感を漂わせる28球だった。(伊藤雅哉)
柳田と筒香、中軸の仕事
先頭打者が初出塁し、得点圏に進んだ六回。侍ジャパンの中軸が仕事をした。
1死二塁で、打席には約3年ぶりの代表復帰に「足が震えた」という柳田。142キロを中前にはじき返し、日本に先制点をもたらした。「2三振してたんで、自分にプレッシャーをかけた」。その柳田が暴投で二進すると、今度は昨年のワールド・ベースボール・クラシックでも4番を張った筒香だ。大飛球は右翼手のグラブをはじく二塁打に。柳田を迎え入れた。
両選手ともメンバー選出の際、1月中に先行発表された6選手に含まれる。いわば稲葉監督が「主力」として期待する2人が、五回まで打ちあぐねた打線の重い雰囲気を吹き飛ばした。
○稲葉監督 「投手陣が、いい形で打撃陣に回してくれた。(千賀は)さすがと言いますか、この時期でもしっかりと調整してくれた」
○東浜(ソ) 五、六回を無失点に抑え勝利投手に。「白星はたまたま。でも、ありがたいし、自分が前に進めている感じはある」
○外崎(西) 八回、今季から導入される申告敬遠を初体験。「自分が何かしてしまったのかと思った。こういう感じかというのが分かってよかった」
○筒香(D) 六回に右越え適時二塁打。「柳田さんが打ってくれて楽な気持ちで打席に入れた。4番は責任もあるし、結果を残さないといけない」