引退セレモニーで、仙台の選手から胴上げされる平山相太(中央)=長島一浩撮影
「怪物」と呼ばれ、サッカーJ1のFC東京、仙台でプレーした元日本代表FW平山相太(32)が引退した。東京・味の素スタジアムで3日にあったFC東京―仙台戦後に引退セレモニーが行われ、サポーターらが早すぎる決断を惜しんだ。
最新の試合結果はこちら
「皆さんの声援を第二の人生の糧として生きていきたい」。身長190センチの平山が引退セレモニーで照れくさそうにあいさつした。FC東京時代のチームメートで同じく昨季限りで引退した石川直宏や羽生直剛から花束を受け取り、スタジアムを1周後、チームメートから胴上げされた。「初めての経験。みんなに重いと言われた」と苦笑いした。
長崎・国見高では、高校選手権で2年連続得点王。世界ユース選手権(現U20W杯)やアテネ五輪の代表に飛び級で出場した早熟の選手だった。筑波大にいったんは進学したものの、休学してオランダ1部ヘラクレスへ加入。デビュー戦で2得点を挙げるなど、1年余りで32試合8得点。2010年には若手主体の日本代表に選ばれ、デビュー戦でハットトリックを達成した。
一方、J1では通算168試合33得点と才能を生かし切れなかった。FC東京では度重なるけがで何度もチームから離脱した。再起をかけて昨年移籍した仙台では、開幕戦の札幌戦でベンチ入りし、交代出場のためタッチラインで出番を待った。ところがその直後に仙台が先制し、出場は立ち消えた。右足首のけがの手術で、結局、1試合も出られないままシーズンを終え、引退を決意した。
今後は大学で教員免許を取り、指導者を目指す。「(思い出のゴールを)強いて挙げれば、09年に国立競技場であったナビスコ杯決勝での得点」と話し「新国立男が出てくれると思う」と期待する。取り壊された国立競技場で何度も得点を挙げた「国立男」は次代の選手を育てる側に回る。(河野正樹)