介護分野の外国人技能実習生が働き続けるのに必要な「日本語能力」を測るため、介護に特化した新たな試験が作られることになった。今の試験はハードルが高いとして、実習生を送り出す国側から反発が強い。このままでは不足する介護人材を確保できないと、介護事業の海外進出を進める官民の「国際・アジア健康構想協議会」が7日、年内にも内容を決めて実施すると発表した。
厚生労働省もこの新試験を認可する方針だ。協議会は、試験作成に向けて日本語教育や介護の専門家による検討会を立ち上げ、介護現場に必要な日本語能力の基準作りを進める。
技能実習制度の介護職は、初の対人サービスとして昨年11月に加わった。厚労省は必要な日本語能力を測る物差しに、「日本語能力試験」(国際交流基金など共催)を採用。入国の条件を「N4(ややゆっくりの会話ならほぼ理解できる)」合格とし、1年以内に「N3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる)」に受かれば最長5年間働け、不合格なら帰国させられるとした。
昨年9月に決めたばかりだが、働き続けられる条件が1年以内の「N3」合格から、1年以内の新試験の合格に変わることになる。背景には、実習生を送り出す各国からの強い反発があった。日本語能力試験は一般的な日本語力が試され、N3は日本語教室に1年以上通って習得できるレベルとされている。フィリピンの送り出し機関関係者は「ハードルは高く、大半は不合格で帰国させられる。人材の『出し渋り』が起きている」と話す。
このため、人材確保に道筋をつけたい日本政府が事実上方針を転換した形だ。介護関連の日本語であれば仕事をしながらでも身につき、合格しやすいとの期待もある。協議会は、入国時の日本語能力を測る新試験作成も検討するという。