米朝関係をめぐる動き
米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が会談するとのニュースは、国際社会に衝撃を与えた。劇的な展開は、北朝鮮の後ろ盾とされてきた中国などにも強いインパクトをもたらす。北朝鮮問題を巡る国際政治の構図はどう変わるのか。
「米国、日本や多くのパートナーと非核化を進める」
8日、トランプ米大統領との会談を終えた韓国大統領府の鄭義溶(チョンウィヨン)国家安保室長が読み上げた発表文に、中国の名前はなかった。
中国外務省の耿爽・副報道局長は9日の定例会見で「米朝が直接対話するとの情報を歓迎したい」と評価したが、中国をメインプレーヤーとしない局面の展開は、北朝鮮問題での中国の影響力の低下も印象づけている。
中朝は朝鮮戦争以来、「血の同盟」と言われる友好国だったが、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が最高指導者に就くと関係は急速に冷え込んだ。北朝鮮関係筋によれば、2013年の核実験後に訪中した崔竜海(チェリョンヘ)軍総政治局長(当時)を習近平(シーチンピン)国家主席が叱責(しっせき)したことや、13年12月に中国との窓口役だった張成沢(チャンソンテク)国防副委員長が処刑されたことなどから関係は徐々に悪化。14年7月に習氏が北朝鮮より先に訪韓したことで、決裂が決定的になった。
習氏の特使として昨年秋、北朝鮮を訪れた宋濤・共産党対外連絡部長は正恩氏と面会できずじまいだった。中国の外交筋は「父の時代との違いは明らかだ」と指摘する。
正恩氏の父・金正日(キムジョ…