自慢の稲を手にする岩見沢農業高校の生徒たち(北海道岩見沢市、同校提供)
全国の農業高校で、安全性や環境などに配慮した農産物の生産工程だと認証する「グローバルGAP」(GGAP)を取得する動きが広がっている。もともとは農産物の輸出の際の制度だが、2020年東京五輪・パラリンピックの食材に選ばれる可能性が膨らむことも後押ししている。
北海道立の岩見沢農業高校では、農業科学科の115人が昨年2月から取り組みを開始。11月にコメや大豆など9品目でGGAPの認証を取得した。
圃場(ほじょう)の見回りや生産履歴のデータを整備したほか、種の由来や農業用水の成分、残留農薬の有無まで検査し、徹底的に栽培を管理。スマートフォンのアプリに作業の内容や時間、天気、収穫量、使用機材などを入力し、誰がどんな作業をしたか共有できる農業日誌を作った。
リーダーの中沢遼太君(18)は「消費者に届けることを意識して衛生面の意識が高まった。実習服を清潔にしたり、農機具の置き場を整頓したりするようになった」と言う。2月下旬には、生徒ら6人が香港の高級スーパーでサツマイモを試験販売。現地の百貨店ではタマネギやミニトマトも販売したという。「現地ではおいしいと言ってもらえました」
担当の松田直也教諭(43)は「農産物の品質アップはもとより、生徒の自主性、責任感の向上に効果が表れたと思う。やらされるのではなく、自分たちが考え、協力することで結果が出ることを学べた」と話す。同校のコメ「ゆめぴりか」は、昨年の「全国農業高校お米甲子園」でも最高金賞に輝いた。(岡田和彦)
■「国際競争力をつけないと未来…