総務省は16日、公立小中学校・高校の24%で「いじめ」の判断基準が、いじめ防止対策推進法の定義よりも限定的にとらえられているとの調査結果を発表した。いじめの認知・対応の遅れにつながりかねないことから、同省は文部科学省に対し、定義を限定解釈しないことなどについて周知徹底を図るよう勧告した。
同法は、いじめを「対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」などと定義している。総務省行政評価局が2016年度に全国249校を対象に実施した調査では、59校(24%)が同法の定義にない行為の継続性や集団性などを判断基準に含め、いじめを限定解釈していた。理由については「子供のトラブルですぐに解消した事案を認知すると相当の数となる」などの回答があった。
また、「児童生徒間のトラブル」として取り扱われた169校389事案のうち、本来は「いじめ」と判断するべき事案は32校45事案(12%)あった。「数人から下着を下げられ傷ついた」との相談に対し、「単発行為で継続性がない」として、いじめと判断しないケースもあったという。
行政評価局は、いじめを背景に自殺などの重大事態に至った66件についても、自治体の調査報告書から対応の課題を分析。37件(56%)で、「この程度は悪ふざけやじゃれ合いで問題なく、本人が『大丈夫』と言えばいじめではない」などいじめを限定的に解釈していた。
16年度のいじめ認知件数は約32万3千件で、過去最多となっている。