名古屋テレビ塔のスカイデッキから望む名古屋城天守=昨年8月、名古屋市中区
名古屋市は名古屋城周辺の建物について、天守から半径1キロ以内を「標高50メートル以下」などに制限する制度を設ける。天守の展望室から見下ろす景観を守り、城内外から望む天守の背景に建物が入り込まないようにする狙い。ただ、一部の地権者には規制への反発が残っているという。
特集 名古屋城
市広告・景観審議会(会長=溝口正人・名古屋市立大院教授)が20日、市に答申した。市は答申をもとに景観計画を変更し、2018年度中にも規制を始める。
答申は、原則として外堀通より北側で、天守から半径1キロ以内の建物は標高50メートルに制限。ただし天守より南側の三之丸エリアにはすでに高層建物があるため、制限は天守と同じ62メートルとした。城内の本丸と西之丸が代表的な天守の撮影場所のため、背景になる城西側と北側の一部の1~1・5キロの範囲でも80~160メートルの高さ制限を設けた。
一方、名古屋テレビ塔のスカイデッキ(約100メートル)と天守との間の建物には、繁華街のため高さ制限は設けない方針だ。地権者らに反対意見があるという。規制に強制力はなく、答申は地権者の理解が得られるよう市に努力を促す内容にとどめた。
昨年10月に地権者31人から回答を得たアンケートでは、テレビ塔から天守への眺望を守ることについて52%が「大切」と答えた。だが高さ制限については「必要」が45%、「不必要」が42%と意見が分かれた。
市の担当者は「景観は大切でも、規制は納得できないとも読み取れる。新たな建物が建つ時には、地権者に粘り強く協力を呼びかけていきたい」と話す。(関謙次)