米国が安全保障を理由に決めた鉄鋼とアルミ製品への関税の適用が、一部の国を除いて23日未明(日本時間同日午後)に始まった。米国は欧州連合(EU)や韓国などは暫定的に対象から外したが、日本や中国には適用された。トランプ大統領は鉄鋼関税を交渉材料に通商面などで譲歩を引き出す姿勢で、日本にも圧力が強まりそうだ。
ホワイトハウスは22日、すでに除外しているカナダとメキシコに加え、EU、韓国、豪州、アルゼンチン、ブラジルを4月末までの期限つきで関税の対象から外すと発表した。米国の鉄鋼輸入先の上位4カ国を含む全体の輸入量の大半が除外された。日本は7位でシェアは5%にとどまる。
米国は韓国と自由貿易協定(FTA)の見直し交渉をしているほか、EUとも協議入りを決めており、交渉で譲歩を引き出す姿勢だ。米国は一時的に除外した国との協議で満足した結果が得られなければ、5月から関税をかけるという。除外対象に入っていない国でも、米国と安全保障関係があれば協議に応じる姿勢も示した。
ライトハイザー氏はこの日、公聴会で日本が除外対象に入っているかと問われ、「ノー」と答えた。トランプ氏は署名式で、「私は安倍首相らと協議をする。すばらしい人で、私の友人だ」としたうえで、「(米国を利用してきた)彼らは笑みを浮かべている。そういう日々は終わる」と話し、何らかの譲歩を求める姿勢を示した。
中国商務省は23日、米国の鉄鋼関税が中国側の利益を損ねるとして、128の米国産品計約30億ドル(約3100億円)分の輸入に追加の関税をかける報復措置の計画を発表した。(ワシントン=五十嵐大介)