準優勝旗を返還する履正社の浜内太陽主将=23日午前、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、池田良撮影
(23日、選抜高校野球 開会式)
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高らかに響く吹奏楽の演奏、観客の温かい拍手……。晴れやかな表情が並んだ開会式を、複雑な気持ちで迎えた選手がいる。
履正社(大阪)の主将、浜内太陽だ。
「チーム全員で来たかった。全員で歩きたかったです」
準優勝旗返還。隣には昨春の決勝を戦った大阪桐蔭のメンバーが並ぶ。だが、浜内は一人きりだ。履正社は昨秋の近畿大会1回戦で智弁和歌山に敗れ、この選抜には出場できなかった。
旗を持って行進しながら、「なんとしても夏に戻ってこられるように」という思いが強くわき起こってきた。
浜内自身、昨春の決勝は「5番一塁手」で先発し、3打数2安打2打点。八回には同点二塁打を放った。それでも、甲子園にあるのは「桐蔭に負けて準優勝した悔しい思い出」だ。
年明けの練習で、チームのスローガンを「圧倒的日本一」と決めた。「プレーにおいても、声出しにおいても、日頃の生活においても、すべてにおいて日本一を目指す」という意味。自宅の部屋や部室など、いろいろな所にこの言葉を書いた紙を貼り、気持ちを高ぶらせている。
選抜には出られない分、目標を「夏の日本一」の一点に絞る。春の練習試合では打線が好調で、今のところ、5勝1敗。秋は手薄だった投手陣も、2年生左腕の清水が一本立ちしようとしているという。
今夏の北大阪大会で最大のライバルになるのはもちろん、大阪桐蔭。「倒して甲子園に行きます。選抜に出るとこの時期は調整練習になるけど、僕たちはまだまだ鍛えられる。その点はプラスにとらえている」
決意を新たに、甲子園を後にした。(山口史朗)