開会式で入場行進する聖光学院の選手たち=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、遠藤真梨撮影
(23日、選抜高校野球 開会式)
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この日第1試合を戦う聖光学院(福島)の選手たちは開会式で出場36校のうち6番目に入場。「開幕試合をやらせてもらうのは大きな意味がある。福島代表として、がむしゃらに戦っていきたい」。矢吹栄希(はるき)主将(3年)が校旗を手に行進した。
東日本大震災から今月、7年がたった。沖縄合宿中の11日には、震災の発生時刻と同じ午後2時46分に練習試合を中断し、福島の方向を向いて黙禱(もくとう)した。震災のことを考えながら試合をするわけではない。でも、「忘れちゃいけないことで、ずっと思いは持っている」と福島県出身の斎藤智也監督(54)は話す。
県外出身者や震災を経験していない選手もいるが、被災者が野球を見て泣いている場面を見てきた。矢吹主将は「野球をしたくてもできない人がいる、野球ができていることが当たり前じゃないことを自覚してプレーしたい」と誓った。
3番目に入場した花巻東(岩手)。岩手県沿岸部の野田村出身の藤森晃希(こうき)君(3年)は小学4年生のときに津波で家を流された。用具もグラウンドも失い、一時は野球を諦めかけたこともあった。だが、同じように被災した近所の人たちが、用具を買えるようにとお小遣いをくれた。「やっぱり野球が好きで、やめられなかった」。被災から半年ほどたって、少しずつ地元のチームで活動を再開した。
23日、初めて甲子園の土を踏んだ。「地元の人たちも見ていると思う。熱いプレーを見せて、恩を返したい」(飯沼優仁、加茂謙吾)