赤岳山頂直下から望む阿弥陀岳。山頂から左に延びる尾根が南稜
25日午前8時35分ごろ、長野県の八ケ岳連峰阿弥陀岳南稜(なんりょう)付近で、登山者が滑落したと、他の登山者から通報があった。県警茅野署によると、滑落したのは登山者7人で、意識不明の遭難者もいるという。7人は立場岳から阿弥陀岳に向かう途中だった。県警ヘリコプターなどが救助している。
長野地方気象台によると、午前8時半ごろの阿弥陀岳上空は高気圧に覆われて晴れており、風も弱かった。
八ケ岳連峰は長野、山梨の両県にまたがり、主峰の赤岳(標高2899メートル)を中心に山々が連なる。阿弥陀岳(2805メートル)では2017年2月に早稲田大学の登山パーティーが遭難し、学生1人が死亡。このほかにも16年3月に雪崩で1人、15年2月に2人が死亡するなど事故が相次いでいる。
中級者以上向けのルート
八ケ岳に詳しい山岳ガイドの男性によると、阿弥陀岳は都心からのアクセスもよく、この時期はゴツゴツした冬山らしさが人気という。
天候が穏やかであれば初心者を案内することもあるが、今回、7人が滑落したとみられる立場岳から向かうルートは、傾斜がきついところもあり、中級者以上でないと登れない。アイゼンやピッケル、防寒具など真冬と同様の装備が必要という。
安全対策で登山者同士がロープで体をつなぎあって登ることもあるが、バランスを崩した人を支えきれず、一気に滑落することもある。突風や雪崩で将棋倒しに滑落する危険性もあるという。