米フロリダ州の高校での銃乱射事件を受けて、高校生が呼びかけた「私たちの命のための行進」が24日、首都ワシントンで開かれた。NBCテレビによると約80万人が参加。全米で約800カ所、欧州やアジアなどでも集会が開かれ、銃規制と学校の安全を訴えた。
「私の親友も銃で…」マッカートニーさんも反銃行進参加
銃規制、動かぬ政治家に怒り 米フロリダ高校生が首都へ
校舎で連射音「ダメだ、ここで死ぬ」 目を閉じた高校生
ワシントンでは、連邦議会前の大通り約1キロがプラカードを掲げた群衆で埋まり、周辺の道路にあふれ出した。特設ステージでは、事件のあったマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒や、銃で家族を亡くした若者たちが次々と演説した。
同校生徒のエマ・ゴンザレスさん(17)は「6分20秒間で17人の友人が奪われた」と話し、犠牲者の名前を読み上げた後、突然口をつぐんだ。約4分半、ゴンザレスさんが涙を流しながらまっすぐ前を見つめる間、会場からは「Never Again」(二度と起こさない)の合唱が起きた。アラームの音が鳴り、ゴンザレスさんが再び語り出したのは、登壇してからちょうど6分20秒後。「誰かに任せる前に、命のために闘おう」と訴えた。
会場では11月の連邦議会の中間選挙や2020年の大統領選挙を見据えて、ボランティアが若者に有権者登録を促した。同校のキャメロン・キャスキーさん(17)はステージで「政治家は我々の声を代弁するか、さもなければ退場して。選挙が近づいていることを知って欲しい」と話した。
ヘイディ・アルバレスさん(16)は2012年に乱射事件があったコネティカット州の街からバスで6時間かけて来た。
「(12年の事件は)みんなのトラウマになっている。でも、悲劇は何度も起きている。やることは分かっている。銃の規制を厳しくすること。長い時間がかかるが、今行動しなければならない」と話した。
この日、トランプ大統領はフロリダ州の別荘に滞在。ホワイトハウスは「勇気のある若い米国人が(表現の自由を定めた)憲法修正第1条を行使することをたたえる。子どもの安全を守ることが大統領の最優先事項だ」との声明を出した。(ワシントン=香取啓介)
「次は私?」サンフランシスコでもデモ
ワシントンから遠く離れた西海岸でも各地で「私たちの命のための行進」が行われた。サンフランシスコでは小さな子どもから大人までデモに加わり、市内中心部の大通りを行進した。
「今日1日で何人が殺された、NRA?」。参加者たちは、銃規制を拒み、政治家に献金を続けるロビー団体NRA「全米ライフル協会」に怒りの声を張り上げながら歩いた。手には段ボール紙などに「次は私?」「もう遺書を書かないといけないの?」などと手書きしたプラカード。
デモに参加した中学1年のミアさん(12)は「学校に銃を持った人が入ってきて、先生から体育館の壁に隠れるように言われたことがある。学校に行くのを怖がらないといけないなんておかしい」。手には「2024年の有権者」と書いたプラカードを掲げた。
別の中学に通う1年のデージー・ペリスコットさん(12)も普段から学校で乱射事件に備えた訓練をしているという。「ワシントンの政治家は、もう一度学校を安全な場所にするべきだ。銃規制は一つのやり方だと思う」と話した。(サンフランシスコ=宮地ゆう)