住宅密集地にある厚木基地=昨年3月、朝日新聞社ヘリから、迫和義撮影
在日米軍再編に伴う厚木基地(神奈川県)から岩国基地(山口県)への空母艦載機部隊の移駐計画で、在日米海軍は28日、最後に残っていた戦闘攻撃機FA18の2部隊(24機程度)が「今週中に移駐を完了する」と発表した。海軍はこれまで軍用機の移駐完了を「春から夏ごろ」としてきたが前倒しし、3月中の終了を決定した。
厚木基地を拠点とする艦載機約60機と軍人・家族ら約3800人の移駐は、2006年に日米が合意した兵力再編の一環。昨年8月から段階的に進み、早期警戒機、電子戦機、輸送機と一部の戦闘攻撃機が岩国移駐を終えている。
米海軍は今回、各部隊の軍人や家族らの移駐についても、「今年後半に完了見込み」と初めて時期を公表した。軍用機の前倒しは、例年5月ごろに始まる空母の洋上展開に備えるためとみられる。
住宅地に囲まれた厚木基地の軍用機の騒音被害は神奈川県と東京都の約300万人に及び、住民が国を訴えた裁判の判決は繰り返し違法状態と認定。最大の騒音源は今回移駐を終えるFA18などの艦載機で、周辺自治体は、基地をめぐる最重点課題として移駐の早期実現を国に求めてきた。当初の日米合意では2014年までの完了とされたが、岩国側の合意を得るため「17年ごろ」に延期されていた。
艦載機の陸上拠点は岩国基地へ移るが、空母の母港は遠方の横須賀基地(神奈川県)だ。空母に近い厚木基地について、米軍は「日米同盟にとり重要な基地であり、艦載機は折に触れ利用する」と表明している。(吉村成夫)