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「考える野球」甲子園でみせた公立2校 彦根東と乙訓

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彦根東の初安打に声援を送るアルプススタンドの応援団=31日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、内田光撮影


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第90回記念選抜高校野球大会は31日、8強が出そろった。この日登場した公立高2校はいずれも1点差で涙をのんだが、「考える野球」で甲子園を何度もわかせた。


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彦根東(滋賀)は第2試合で花巻東(岩手)と対戦した。彦根藩校の流れをくむ。藩主井伊家の軍装「赤備え」にちなんで真っ赤に染まったアルプス席が、一球ごとにどよめいた。


エース増居翔太君(3年)の左腕がさえ、九回裏まで相手にヒットを許さなかった。直球で際どいコースを突き、変化球で的を絞らせない。「初回に直球を振ってきたので変化球で目線を変えた」という。村中隆之監督(49)が療養していた昨冬も自分で考えて投球術を磨いてきた。


「実はアイドル好きで、部員で一番変なやつだけど、野球になると人が変わる」。昨夏からバッテリーを組む捕手で主将の高内希(のぞみ)君(3年)はそう評する。高内君もプロ野球選手の動画を見るなど配球を学んできた。打者の狙いの裏をかき、持ち味の強気の投球を引き出した。


延長十回サヨナラ負けとなったが、万雷の拍手が降り注いだ。同校新聞部長の小杉菜々伽さん(3年)は「まずはこの活躍を早く地元で伝えたい」。花巻東と2013年の夏の甲子園で対戦した当時の4番打者大沢視人(みいと)さん(22)は「自分が打者だったら、勝負したくない」と後輩を誇った。


「いけるな」。第3試合の三回表1死二、三塁、乙訓(おとくに)(京都)の三塁走者大上(おおうえ)翔也君(3年)は投ゴロでとっさに走り出した。定石ならストップの場面だが、投手の目線を見て判断。三塁コーチも「ゴー」と叫び、一時同点となるホームインを果たした。


1964年創立の乙訓は「考える練習」を掲げ、初出場。素振りでも、ストライクゾーンを9分割し、各コースに直球と変化球が来た場合の計18通りを想定して振る。「どんな練習でも、ただ漫然とやるんじゃなく、常に試合を想定し、頭で考えながらやらないとうまくならない」


3年前に赴任したプロ野球横浜ベイスターズ(現・DeNA)の元投手染田賢作部長(35)の信条だ。プロ時代に感じた周囲の選手の練習に対する意識の高さが、考え方の根幹にある。


試合は1―2で三重に敗れたが、大上君は「練習からどうすればいいプレーができるか考えてきた成果が出せた」と白い歯を見せた。(五十嵐聖士郎、川村貴大)



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