厚生労働省は4日、昨年12月26日と今年3月30日の勝田(かつだ)智明東京労働局長の記者会見録を国会に提出した。会見録に書かれている勝田氏と記者との主なやりとりは次の通り。(発言者名のない回答は勝田氏の発言。原文の一部を省略しています) 特別指導、厚労省説明にほころび 会見録に刻まれた発言 労働局会見録、厚労相答弁と矛盾浮き彫り 衆院委に提出 昨年12月26日の主なやりとり 「あの、正式な発表というわけではありませんけれども、わたしから、この記者発表が一通り終わったあと、もう一点お話しする事項がありますので、早く帰るとそれ聞き逃しますので、という予告だけしておきます」 【局長らが一般職業紹介状況など、会見の冒頭で配布した発表資料を説明。その後、昨年12月1日の記者会見で、同26日の次回会見で特別な発表があることを示唆していた】 ――(特別な発表を指して)プレゼントの中身は。 「プレゼントもう行く? やります? じゃ、やろっか」 ――みなさん待ってます。 「じゃあやりましょう。はい。プレゼントっていうほどいい話じゃないんですけど」 【資料を配り、野村不動産への特別指導について局長が説明】 ――労働基準法に基づく立ち入り調査並びに是正勧告ということなんですか。 「是正勧告は労働基準監督署の権限でございますね。各労働関係の労働基準監督署において是正勧告を行っています。私からは、社長に対して特別に、直接の指導を、全社的な指導を行った」 ――局長は社長さんに指導で、各事業場に対しては各所轄労働基準監督署から。 鈴木伸宏労働基準部長「それぞれの実態に応じて措置を行っているということは、会社も認めてますけど、個別にどこが何ということに関しては、個別の事案なので我々としてはお話しすることではなくて、今日は、申し訳ないですけれども、特別指導を局長が行ったという事実についてお話しさせていただいたということ」 【中略】 局長「あまり手の内を明かせない部分もある」 ――通常、勧告って発表しないですからね。 部長「勧告は発表しません。だから今回は会社が勧告って申してるんで、まあ、その話については、こう、事実として我々としても認めざるを得ない状況にあるかなと思いますけど」 3月30日の主なやりとり ――個別の是正勧告に関して、(昨年12月)26日の会見を聞くと、是正勧告したというのは、記者の質問に、局長認めてらっしゃるんですけど。 「本当はいけないんだな」 ――なぜ、認めたってことでいいんですよね。 「あっいいのか」 鈴木伸宏労働基準部長「うん。是正勧告をしたって話は、お話し申し上げた」 「そうかそうかそれは良いんだな」 ――それは、個別のことにはかかわらないんですか。 「でも、もうしょうがないですよね、今回は」 鈴木部長「(特別指導をしたという)頭だけ話すってことにはないと思うので。実態をどう把握したのかっていう過程の中で(是正勧告を)申し上げた」 ――是正勧告したということに関しては公表事案というふうに認識していいですね。 鈴木部長「ということだと…」 監督課長「会社が公表しています」 鈴木部長「ええ、会社が」 ――ええ、分かりました。別の話ですけど、是正勧告したというのが、黒塗りになっているのはおかしいということですね。 鈴木部長「おかしいかどうかは分からない」 「通常は、是正勧告しても言えないです」 ――中身については、あのとき言ってなかったですけど。したということ自体については言ってたんですよ。 「何なら、皆さんの会社に行って、是正勧告してもいいんだけど。各社も」 ――それはどういう意味ですか。 「多くのマスコミでも違反が無いわけではないのでね」 ――それは、なんか、そういうことはあんまり言わない方がいいと思いますよ。 「それは、あれなんですど」 ――冗談でも。 「いろんな会社に是正勧告してます」 ――知ってますよ。 「いろんな会社にやってます。でも、それは、個別には申し上げられません」 ――では、あのときは何故公表したんですか。 「だから、あの時は裁量労働」 ――特別指導だから、言わざるを得ない事実だからってことですね、ただ、その中身については、当然あの時も言ってないし、そこで線引きをしたということですね。そういう認識でいいですね。 「ええ」 ――なんなら、あなたたちの会社のことも、公表するんですよって言うのは。書きますよ、そういう風に。 「すみません、そこは言い過ぎだったと思いますけど。われわれ、例えば、テレビ局の長時間労働という問題で様々な指導をテレビ局の皆さんに集まってもらってやってます。そういった問題について、逐一公表はしてませんけれど、それぞれ個別に問題があれば、それぞれいろいろやってますという状況だということをお話ししたかっただけです。それ以上の他意はありません」 【中略】 ――話が戻って大変恐縮なんですけど、確認なんですけど、書くかどうか判断しなくちゃいけないので聞くんですけど、局長はさっき「皆さんの会社にも是正勧告して差し上げてもいいですよ」との発言なんですけど、もう一度、なんで言ったか説明してもらえますか。 「いろんな会社が、勧告等を受けているということを、言っただけです。他意はありません」 ――でも、是正勧告を受けているということは、法違反があると言うことですよね。 「すみません。マスコミ関係でも、受けてらっしゃる社もいくらでもありますので」 ――要するに、野村不動産について、いろんな質問したことで、聞いたら、マスコミ各社に入りますよっていうことですか。 「まったくそういう意味ではありません。いろんな会社がたくさん是正勧告を受けているっていうことを言いたかっただけです」 ――そうではないんですね。他意なく、何故そういう発言をしたのですか。 ――そうやって言えばいいですよね。 「言葉足らずで申し訳ありません」 鈴木部長「我々が逆になぜ是正勧告をなぜ公表しないのかと言われることが多くて、そういう時のフレーズとしては、言えませんっていうことで、いっぱい受けているところがあって。個別の企業として言われるのは良くないですよねって話の流れでしゃべったものであって」 「どこの会社でもあるんですよ。そういう点で、みなさんの会社も労働条件に関して、決して真っ白ではないでしょうっていう話だけのつもりです」 ――それはそうですけど、それはますますおかしな話になって。 ――鈴木さんの論理でいうと、一般の時にもそういうことを言うってことですか。 鈴木部長「逆です。だから言わないっていう話です。普段言わないときの理屈の話をされたんだなって思ったんですけど」 「だから言わないんですっていう話なんです」 ――関係ないじゃないですか。是正勧告と。 「だからなぜ是正勧告を言わないのっていう話の中で私は言ったつもりだったんです」 ――全然理屈が通ってないですよ。どういう理屈なんですか。 「野村については、是正勧告のやったことが」 ――つまり公権力の行使者が、こういうところのやり取りの中で、あなたの会社に対して公権力を行使しますよっておっしゃったわけですよ。それは極めて問題がある発言ですよ。 ――なぜそれを言ったんですか。 「それは、何で是正勧告を公表しないかという話について、みなさんあるんで、それは全部行使したら、同じようにあるんですよっていう話だけだったつもりだったので」 |
会見録に書かれた東京労働局長と記者との主なやりとり
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