夫の釈放を求める服を着て、仲間と天津まで歩いて抗議する李文足さん(右から2人目)=2018年4月7日、中国・河北省、延与光貞撮影
中国で2015年夏に人権派の弁護士らが一斉に拘束された事件で、唯一裁判が始まっていない北京の王全璋弁護士(42)の妻が、拘束から1千日たっても何の情報も得られないことに抗議して、北京から夫が拘置されている天津までの約120キロを10日ほどかけて歩くデモを続けている。
妻は李文足さん(33)。夫は昨年2月に国家政権転覆罪で起訴されたが、家族も、依頼した弁護士も一度も面会が認められず、健康状態すら分からない。司法当局に毎週のように通い詰めたが、何の説明もないため、拘束から1千日となる前日の4日から歩き始めた。天津の裁判所で、夫への面会や状況の説明を改めて求めるつもりだ。
1日10~15キロ歩く。4日は雪が降り、李さんは風邪を引いた。それでも、10人ほどの仲間と一緒に7日も歩き続けた。李さんは「有罪というなら早く裁判を開くべきだし、無罪なら釈放してほしい。依法治国(法に基づく統治)と言いながら、何の説明もせずに1人の人間を閉じ込め続けるのはおかしい」と訴えた。
事件では多くの弁護士が罪を認める姿が国営テレビで報じられ、その後、釈放されたり、執行猶予判決を受けたりする例が目立つ。この日は、有罪判決を受けながら刑事罰を免除された湖南省の謝陽弁護士(46)も応援にかけつけ、「王氏が罪を認めないため、当局は裁判を開けないのではないか」と話した。(北京=延与光貞)