ブラジルのサンパウロ近郊で7日、労働組合本部の外で支持者らに担ぎ上げられるルラ元大統領(中央)=AP
収賄などの罪で有罪判決を受け、裁判所から出頭を命じられながら応じていなかったブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ元大統領(72)は7日夜、連邦警察に身柄を拘束された。サンパウロ州内にある支持団体の労働組合本部に身を寄せていたが、自ら警察車両に乗り込み、サンパウロの連邦警察に移送されているという。地元メディアが中継で伝えた。
ブラジル元大統領、禁錮12年1カ月の二審判決
ルラ氏は5日に南部クリチバの連邦地裁から出頭命令を受けた。その後、ルラ氏は7日に、組合本部前でミサに参加した後、正午すぎから数千人の支持者らを前に50分にわたり演説し、警察に出頭する意向を示した。
演説で「私は、自分の物ではないマンションを理由に告訴された。真実は私の側にある」とし、有罪とした裁判を批判。「私が犯した罪が貧しい者に教育と食事を与えたことなら、私は犯罪を続けたい。『ルラは亡命する』と言わせないために、私は行く。一人の闘士の死は革命を止めない」などと語った。
その後、支持者たちが出頭させないよう建物を取り囲んだため、ルラ氏は午後7時前、裏口から警察車両に乗った。サンパウロの連邦警察に向かっているとみられる。
ルラ氏は、ブラジルの建設大手からマンションなど220万レアル(約7千万円)相当を受け取ったとして、収賄と資金洗浄の罪で禁錮12年1カ月の有罪判決を受けた。判決確定まで身柄拘束をしない人身保護請求を求めたが、最高裁が却下。連邦地裁は、ルラ氏に6日夕までに連邦警察に出頭するよう命じていた。(サンパウロ=岡田玄)