送球練習をする部員たち=七ケ浜町吉田浜
東北の高校で初めてとなる女子硬式野球部が誕生し、4日、七ケ浜野球場(宮城県七ケ浜町吉田浜)で練習を始めた。高校でも選手として野球を続けたいのに、続けられない――。そんな思いを抱えていた女子たちが県内外から集い、汗を流している。
ノックの打球を取りこぼせば「もう一回お願いします」。しっかり捕球すれば「いいレフト」「ナイス」と仲間からの声が響く。
この日、真新しいえんじ色のユニホームに身を包んだ部員は、東北6県を中心に全国から集まった11人。7月の全国大会に向けて練習を重ねている。
高校野球連盟が主催する公式戦に女子部員は出場できない。でも、東北には女子だけの部活もない。公式戦にこだわる女子たちは、関東や関西の高校へ進学せざるを得なかった。
現状を打破しようと、クラーク記念国際高校が昨年6月末に女子硬式野球部の創部を発表。プロ野球・楽天と提携し、監督に元楽天選手の山崎隆広さん(41)を迎えた。コーチにも元選手の派遣を受けるなど、全面的にサポートを受ける。
部員は同校に新設されたスポーツコースに所属。午前中は一般教科の授業を受け、午後の3~4時間はコース独自の「授業」として練習に励む。
「県内に女子野球部ができて本当にうれしい」と笑顔なのは、七ケ浜町に住む小野寺佳奈さん(15)。16チームが出場した昨夏の女子軟式野球全国大会(中高生の部)の優勝投手だ。「指導者が元プロ野球選手なんて他のチームにはないと思う。高校でも日本一になりたい」
群馬県館林市出身の堀越莉沙さん(15)は「野球を続けたくてここを選んだ」と話す。小学生では栃木、中学生では埼玉と野球ができる環境を求めて県外のチームに所属してきた。「親元を離れて寮生活なので、寂しい。でもみんなで全国1位を取りたい」
山崎監督は「純粋に野球が大好きだという気持ちが伝わってくる。夏はまず一勝」と意気込んだ。(窪小谷菜月)