7人制ラグビー男子日本代表の小沢大主将
7人制ラグビーの男子日本代表が、ワールドシリーズ(WS)全試合に出場できる上位グループ(コアチーム)への来季昇格を決めた。2季ぶり3度目の復帰となる。世界10都市を回ってトップチームと戦うWSは、2020年東京五輪に向けた絶好の強化の場。残留するためには、選手の確保が大きな課題となる。
「世界で戦えるスタートラインに」
「やっと世界と戦えるスタートラインに立てた」。香港での昇格大会を勝ち抜き、9日に帰国した男子代表主将の小沢大(トヨタ自動車)が安堵(あんど)の表情を浮かべた。リオデジャネイロ五輪金のフィジーをはじめ15のコアチームなどが参加する18年度のWSは年末に始まる。日本は過去2度の昇格時に1シーズンで降格しており、小沢は「最低でも残留して、世界と戦えるチームの基盤を作りたい」と誓う。
小沢は15人制のチームに所属しながら、7人制の代表活動を優先できる専任契約を日本協会と結んだばかり。28歳は「すごく悩んだ。だけど、20年を目指すなら、7人制1本にした方が、たとえ五輪メンバーから落ちても悔いが残らない」と決断したという。
15人制との違いは…
同じラグビーでも、15人制と7人制では求められる体力や技術が異なる。小沢はトヨタでは俊足が務めることが多いWTBだが、7人制ではスクラムも組むFWだ。練習内容が変わってくるため、トヨタでは1人で練習を積む時間が長かったという。15人制でチームに貢献したい、という気持ちに踏ん切りをつけるのは簡単ではなかった。
代表選手は大半がトップリーグチームに所属しながら7人制を掛け持ちし、小沢と同じような悩みを抱えている。ただ、これまでのWSでは、リーグと重なる期間に選手を集められなかったこともあり、結果が出ない側面があった。7人制の経験が長い司令塔の橋野皓介(キヤノン)は「もっとまとまることが大事。そのためにもメンバーを固定化して試合を重ねないといけない」と指摘する。
今年は7月に7人制ワールドカップ(米サンフランシスコ)、8月にアジア大会(ジャカルタ)とビッグゲームが続き、その先にWSも控える。日本協会の本城和彦・7人制強化委員長は「リオで4位に入り、東京大会でのメダル獲得は手に届かない目標ではない。我々が選手やチームと話し合い、今までよりもいいチームでWSに臨まないといけない」と話す。(野村周平)