鹿児島市から富山市にカヌー・スラロームの観戦に来た会社員の榎田恵美さんは、羽根田卓也からサイン入りゼッケンをプレゼントされ大喜び
カヌーの羽根田卓也(ミキハウス)が機転を利かせたファンサービスで場を盛り上げた。富山市の井田川カヌー競技場で8日に開かれたNHK杯全日本スラローム競技大会での優勝インタビューで、ファンにレースで使ったゼッケンをサイン入りでプレゼントした。
観戦者も囲む屋外の壇上でのインタビューで、12度目の優勝を振り返った羽根田。「最後にファンの皆さんに一言」と振られると、「今日、遠くから来ましたって方いますか?」と問いかけた。名乗りを上げたのは札幌市と鹿児島市の観戦者。「どっちが遠いんだろう。ありがとうございます。今まででは考えられなかった。カヌーの大会に一般の方が遠くから来てくださるとは」と話をまとめ始めたところ、司会から「聞いただけですか?」と突っ込みが。そこで羽根田は「なにかあげてもいいですか? ぜひゼッケンをもらっていただきたい」。名乗った2人によるジャンケンで勝った鹿児島市の会社員、榎田恵美さんに贈られた。
今大会は雪や雨が降る寒い中での開催となり、「天候が悪かったので、少しでもいい思い出の一つになればと思って」と羽根田。ゼッケンをもらった榎田さんは、テレビ番組で羽根田のことを知ったことがきっかけで、初めて観戦に来たといい、「迫力があり面白かった。鹿児島の選手もいるようなので、地元でもできるところがあるんですね」と興味を膨らませていた。
「基本的にその場の思いつき。できるだけのことをしたい」と羽根田は言う。2016年リオデジャネイロ五輪の男子カナディアンシングルで銅メダルを獲得。注目されるようになってからも変わらず、気さくに写真撮影に応じるなど、カヌーの人気や認知度の向上に努めている。
3月下旬にオーストラリア合宿から帰国。日本代表選考会を兼ねた今大会で優勝し、連覇がかかるアジア大会の代表にも内定。スピードアップを狙ってパドルを長くするなど、2020年東京五輪への準備も着々と進めており、「この1年でいい感触をつかんでおきたい」。4月17日にスロバキアへ渡り、ワールドカップなど世界各地を転戦する予定だ。(松本行弘)