車の自動運転の実現に向け法律上の課題などを探る警察庁の調査検討委員会が17日、報告書をまとめた。運転者にテレビなどを見るといった運転以外の行為をどこまで認めるか、事故の際の過失責任をどう考えるかなど、課題と考え方を整理した。警察庁は報告をふまえ今後、道路交通法など関係法規の在り方を検討していく。
有識者らで構成する委員会は、自動運転の5段階の分類のうち、緊急時にのみ人が対応するレベル3以上の実用化を念頭に、昨年8月以降、議論を重ねた。自動運転の普及をにらんだ法整備や実験が進むドイツなど3カ国の視察も行った。
報告書によると、自動運転システムを使っている間の運転者の状態については、運転にすぐに戻れる姿勢であるべきだとした。運転以外の行為として認めるのが困難なのは睡眠、認め得るのはテレビなどの観賞、携帯電話を持った通話やメールの送受信、食事や読書などの具体例が意見として挙がった。
車両が法令や交通マナーを守るのをどう担保するかについては、事前の審査やシステムの点検・整備の義務の在り方を検討する必要を指摘。交通事故の際の過失責任は、原則として運転者に事故を予測したり避けたりできる可能性があったかどうかを踏まえながら個別具体的に判断されるとした。その上で、システムの本来の使い方をしていた場合は過失責任を負わない可能性もある、との考え方を示した。(編集委員・吉田伸八)