安倍政権を直撃する問題への自民党内の反応
20日午後に米国から帰国した安倍晋三首相は、秋の自民党総裁選を見据え、党の地方議員が集まった研修会に参加した。外遊中、セクハラ報道を受けて財務事務次官が辞任を表明。麻生太郎財務相の責任などを追及する野党の反発で国会は空転し、法案審議の見通しは立たない。政権運営は難局に直面している。
政府専用機で羽田空港に到着した安倍首相は、慌ただしく都内のホテルに向かった。報道陣をシャットアウトした会場には、党地方議員の研修会に参加した県議ら約750人がいた。
「たった今、日米首脳会談から戻り、羽田から直行したところです」。首相はそう切り出し、約50分間にわたって演説を続けた。
研修会は、党が進める憲法改正などの政策テーマの理解を深めてもらうのを目的に初めて開催した。ただ、首相に近い自民党議員は「総裁選対策の側面もある」と明かす。参加者の多くは、翌21日に都内である首相主催の「桜を見る会」への招待も受けており、「明らかな総裁選対策。よほど安倍さんは厳しい情勢なのか」(東海地方の県議)という声も漏れた。
この日の演説で首相は、日米首脳会談の内容について触れ、「拉致問題について早期解決を目指し、努力していくことで一致した」と力説。「こうした力強い外交を展開できたのは、昨年の総選挙で大きな支持を頂いたからだ。まさに選挙の勝利こそ、大きな外交力にもつながっていく」と訴えた。
先月来、森友学園や加計(かけ)学園をめぐる問題、防衛省の日報問題などが次々と噴き出し、内閣支持率は低迷。首相側には日米首脳会談や、5月に予定する日中韓首脳会談などの「外交成果」を政権浮揚の契機にしたいとの思惑があった。
ところが、日米首脳会談当日に…