京都市の朝鮮学校跡地近くでヘイトスピーチをして朝鮮学校の名誉を傷つけたとして、京都地検が、在日特権を許さない市民の会(在特会)の西村斉(ひとし)・元京都支部長(49)=同市右京区=を名誉毀損(きそん)の罪で在宅起訴していたことがわかった。20日付。学校側の弁護団によると、ヘイトスピーチによる名誉毀損を認めて損害賠償を命じる判決が出たケースはあるが、刑事事件として名誉毀損罪が適用されるのは極めて珍しいという。
西村元幹部は取材に「本当のことを言っているので名誉毀損にはあたらない」と話した。
弁護団などによると、西村元幹部は昨年4月23日、京都市南区の京都朝鮮第一初級学校跡近くの公園で、拡声機で「日本人を拉致するような学校はたたき出さなければなりません」などとの発言を繰り返し、その様子を動画投稿サイトで流した。学校を運営する学校法人、京都朝鮮学園(京都市)が昨年6月に告訴し、府警が名誉毀損の疑いで書類送検していた。
弁護団事務局長の冨増四季弁護士は「差別や偏見を助長して学校を陥れる言動に対し、厳正に対処する姿勢を示したことは妥当な判断」と指摘する。
西村元幹部は2009年12月にも、同校近くで拡声機で怒鳴って授業を妨害したとして、京都地裁で威力業務妨害罪などで執行猶予つきの有罪判決を受けた。
同校が在特会側を訴えた訴訟では、名誉毀損の成立を認め、約1200万円の賠償と街頭活動の差し止めを命じる判決が14年12月に確定した。