広島県警広島中央署が詐欺事件の証拠品として保管していた約8500万円が盗まれた事件をめぐり、詐欺罪で公判中の男性被告が「適切に保管する注意義務を怠った」として、県に全額の賠償を求めた訴訟の判決が24日、広島地裁であった。小西洋裁判長は男性の訴えを棄却した。
訴状などによると、男性は詐欺容疑で昨年2月に逮捕、その後起訴された。県警は男性宅などの関係先から、現金を証拠品として押収。同年5月、署1階の会計課にある金庫からの盗難が発覚した。男性は押収された現金は事件と無関係だと主張していた。
判決は、押収は強制的な処分で「捜査機関は返還義務を負わない」と判断。男性が還付請求権などを侵害されたとは言えないと結論づけた。
この盗難事件をめぐっては、県警が内部犯行の可能性も視野に捜査している。(東郷隆)