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「(大型バンは)次から次へと人をはねた」――。事件を目撃した男性の1人は地元テレビの取材に声をふるわせた。
カナダで車が歩道突入、10人死亡 故意に暴走の可能性
カナダ・トロント市の郊外で23日、大型バンが歩道に突っ込んで暴走した時、カフェなどが立ち並ぶ通りは暖かい陽気に誘われた大勢の人々でにぎわっていた。
地元紙によると、現場近くのIT企業に勤める会社員ミッシェル・ケルマンさんは友人と昼食を終えて会社に戻る途中、突然背後で悲鳴を聞いた。振り向くと、白いバンが歩道の上を走りながら自分たちの方へと突っ込んできた。ミッシェルさんはとっさに体をよけて無事だったが、一緒にいた友人は亡くなったという。別の目撃した男性も「本当に恐ろしい光景だった。車に引きずられる人もいた」と語った。
ツイッターに投稿された動画によると、ミナシアン容疑者とみられる男は歩行者をはねたとみられる大型バンを背に、路上で右手に銃とみられるものを持ち、警官に突きつけた。警官から「伏せろ」と命じられても「ポケットに銃がある」と拒否。「伏せなければ撃つ」と歩み寄られても、「頭を撃ってみろ」と挑発した。
トロント市中心部では22、23両日、主要7カ国(G7)外相会合が行われ、G7の外相や各国の政府関係者が滞在していたなかでの惨劇だけに地元の衝撃は大きい。事件の一報が伝わったのはカナダのフリーランド外相らによる締めくくりの記者会見が終わった直後で、記者団からは驚きの声が上がった。メディアセンターが設置された「メトロ・トロント・コンベンションセンター」の周辺でも警官の数が増員され、緊張感が高まった。(トロント=園田耕司)