覚醒剤の所持で大阪府警に逮捕されたが、「厚生労働省近畿厚生局の麻薬取締官によるおとり捜査に協力しただけ」と無罪を訴えていた男性被告の判決公判が12日、大阪地裁であった。
村越一浩裁判長は、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)などの罪で懲役8年6カ月罰金300万円(求刑懲役13年罰金300万円)の実刑判決を言い渡した。一方、被告と取締官が「持ちつ持たれつ」の関係にあったと指摘、「取締官の対応が取引を助長した面は否定できない」として刑を軽くした。
判決を受けたのは、渡辺吉康被告(55)=大阪市西区。2015年4月、大阪府警に現行犯逮捕された。判決は、被告が覚醒剤を小分けして100袋以上も保管していたことなどから密売目的の所持と認定した。
その上で、逮捕までの9カ月間、渡辺被告が取締官と約30回面会し、何度もメールでやり取りしていた点に着目。取締官が「情報収集の一環として(被告に)対応していた」とし、取締官が被告の覚醒剤取引を「少なくとも容認していた」と認定した。
取締官の薬物捜査の違法性を指…