厚生労働省は24日、過労死を防ぐための対策をまとめた「過労死防止大綱」の見直し案を公表した。終業と始業の間に一定の休息を確保する「勤務間インターバル制度」の普及に向けた数値目標を新たに盛り込むなど、長時間労働の改善を中心に働き手の健康確保策の強化を企業側に促す内容となっている。
大綱は過労死等防止対策推進法に基づき2015年に策定され、3年後をめどに見直すことになっている。見直し案はこの日、労使の代表や学識者、過労死の遺族らでつくる厚労省の協議会に示された。政府は新たな大綱を今夏にも閣議決定する方針だ。
勤務間インターバル制度は、厚労省の17年の調査で導入企業が1・4%にとどまり、遺族らが普及の必要性を訴えてきた。政府が今国会に提出した働き方改革関連法案では導入を「努力義務」としている。数値目標を政府が示すのは初めてで、どんな内容とするかは厚労省が今後詰める。
ほかに、仕事上の悩みの相談先がある労働者の割合を、現状の70%ほどから22年までに90%以上に高めるとする数値目標も新設する。一方、週60時間以上働く人を20年までに5%以下に減らすといった現在の大綱の目標はいずれも達成していないため、これらは目標を据え置く。
厚労省によると、過労死と過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は15年度に189人、16年度に191人で、大綱ができた後も横ばいとなっている。(村上晃一)
過労死防止大綱の見直し案に盛り込まれた主な数値目標
【新設】
・勤務間インターバル制度の普及 内容は未定
・仕事の悩みの相談先がある労働者の割合 2016年71.2%→22年までに90%以上
・働き手のストレス状態を調べる「ストレスチェック」の結果を職場環境の改善に活用した事業所の割合 16年37.1%→22年までに60%以上
【据え置き】
・週の労働時間が60時間以上の人の割合 16年7.7%→20年までに5%以下
・年次有給休暇の取得率 16年49.4%→20年までに70%以上
【期限の延長】
・メンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合を17年までに80%以上 16年56.6%→22年までに達成