脳梗塞(こうそく)になった2千人以上に対する24時間以内の治療を分析したところ、カテーテルで血管の詰まりを取り除く「血管内治療」で3カ月後の回復率が4割上昇することが分かったと、兵庫医大などのチームが25日、発表した。この治療法について全国的に大規模な検証をしたのは初めて。軽症でも効果がある可能性も示されたという。米国心臓協会の雑誌に同日、掲載された。
この治療は2010年に公的な医療保険が使えるようになった。発症から原則8時間以内に治療する。チームは14~16年に脳の太い血管が詰まる脳梗塞になって、北海道から九州までの全国46施設でこの治療を受けた人(1121人)と、受けなかった人(同)を対象とし、3カ月後の状態を解析した。
治療を受けた人では、まひなどの障害が残らずに回復したのは35・3%で、死亡したのは9・8%だった。来院までの時間や重症度などを統計学的に補正したうえで、治療を受けなかった人と比較。回復率は44%上がり、死亡率は25%下がるという結果になった。
米国のガイドラインでは、治療が推奨される条件として、「重症度」や「血管がつまる範囲」が定められている。しかし、今回の結果では軽症の人や範囲が広い人でも効果がある可能性が示された。吉村紳一教授(脳神経外科)は「これまでの臨床試験では血管内治療の有効性がまだ一部しか示されていない。さらに検証されてもっと治療が広がることを期待したい」と話す。(合田禄)