(28日、湘南1―0浦和)
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終了の笛に湘南の選手が次々と拳を握って突っ伏した。GK秋元が駆け出し、仲間と抱き合う。静まる敵地の一角では、湘南サポーターの歓声がはじけた。
まるでタイトルを取ったような喜び。無理もない。近年はJ2暮らしも多かったクラブが1997年7月以来、21年ぶりに浦和からもぎとったリーグ戦の勝利だ。
前半30分の決勝点は、相手の寄せの甘さを見逃さなかった。こぼれ球を拾ったDF山根が4人の間を通すスルーパス。右サイドを飛び出したMFミキッチが中へ折り返し、最後はMF石川が右足で流し込んだ。
相手の人数はそろっていても、3人ともほぼフリーでプレー。見事な連動に、石川は「湘南らしく、一体感を持ってまとまれた」。
「ピッチの中の自立感が出てきた」と、曺貴裁監督はチームの成長を評す。状況に応じ、的確なプレーを選べることを指して。それも1人だけでなく、複数の選手が同じ絵を描けている手応えがある。
だから自陣深くに押し込められた終盤の20分間も、ピッチ上の感覚を大事にした。最終ラインの山根は「3バックがしっかり構えれば、そう失点しない」と感じていた。察した監督はDFを増やす交代策をやめ、逃げ切りに成功した。
3日前はガ大阪から20年ぶり勝利。続く快挙に石川は「僕たちは個々ではまだまだ。チームとして相手を上回る」。MF中田英、FW呂比須らを擁して上位を争った21年前とは違う。おごらず、一丸で。混沌(こんとん)とする今季をさらにかきまわす。(藤木健)
○曺貴裁監督(湘) 「敵地で勝っていなかったので、前日の出発時間を1時間早めた。デーゲームで初めて朝の散歩をした。効果は不明ですが」
○ミキッチ(湘) 「(浦和に過去20年未勝利など)ネガティブな記録は自分たちで破っていくもの。それが成長につながる」