三回裏広島1死満塁、鈴木は左越えに逆転満塁本塁打を放つ=上田幸一撮影
(28日、広島7―5阪神)
衣笠さんの一言、「江夏豊の21球」生んだ 鉄人を悼む
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「サイコーです!」。打つべき人がようやく打ち、久しぶりにこの雄たけびが本拠に響いた。
2点を追う三回、3四球などで1死満塁の絶好機だった。4番鈴木はカウント2―2から、高めに入ったカーブに反応。左翼席に放物線を描いた。逆転満塁本塁打。「大事な試合で勝ちたかった。思い切ってフルスイングでいきました」
この日は、23日に亡くなった広島OBの衣笠祥雄さんの追悼試合だった。2215試合に連続出場し「赤ヘル」黄金期を支えた「鉄人」は常に超・全力。歴代9位の三振数1587はその代償だ。
23歳の鈴木は「鉄人」のプレーを生では見ていない。だが「チーム、ファンのためにしっかり試合に出ないといけない」という熱い言葉をかけてもらったことがある。「その言葉は一生消えることはない。偉大な方に少しでも近づきたい」。この日、試合前に誓ったのは、衣笠さんの代名詞、フルスイングを見せることだった。
ようやく今季1号。昨季は右足首を骨折して優勝の瞬間はプレーできず。今季も下半身の張りで一時離脱し、前の試合で4番に復帰した。「まだ打席数も少なくて完璧ではない。けど、出ている以上、結果を出さないと。打席数を重ねれば、ホームランは自然と出てくるものだと思ってます」。五回に一度は追いつかれたが、鈴木は六回にも相手を突き放す適時打を放ち、この試合は計5打点。復調への手応えをつかみつつある。
衣笠さんが打線を引っ張りチームを2年連続日本一に導いたように、今の「赤ヘル」にも鈴木の完全復活が必要だ。その時は、もう間もなくかもしれない。(藤田絢子)
広島のひとこと
○鈴木(広) 満塁アーチに加え、六回には打球が三塁ベースに直撃して左翼線へ転がる適時二塁打に。「ありがとう! ベース」
○ジョンソン(広) 先発し、五回5失点。「制球に苦しんだ。最初からバランスが悪くて良くなかった」