米ゼロックスは3日夜(日本時間4日)、富士フイルムによる買収計画に反対する大株主2人と結んだ和解合意が失効したと発表した。和解後に退任するとしていたジェフ・ジェイコブソン最高経営責任者(CEO)ら現経営陣も続投する。大株主側は反発しているが、買収計画が白紙になる事態はひとまず遠のいた可能性がある。
米ゼロックス買収、対立泥沼化の雲行き 白紙の可能性も
米ゼロックスは1日、筆頭株主のカール・アイカーン氏、3位ダーウィン・ディーソン氏の2人と和解に向けて合意したと発表。そのなかに、3日夜までに米裁判所の承認が得られなければ合意が期限切れになるとの条項が入っていた。
その後、和解を承認しないように富士フイルムが異議を申し立てたのを受け、裁判所は3日、判断の留保を決めた。これを受け米ゼロックスは自動的に合意が失効したとした。声明で「この数日の出来事で投資家や関係者が不安になっている」としたうえで、現経営陣が「会社の価値のためにすべての選択肢を検討する」とした。
これに対し大株主2人は4日未明、他の株主に向けた公表書簡で「全く不可解な転向の理由は一つで、(現経営陣の)個人的な利益だ」などとゼロックスの発表を批判。「ゼロックスの救済と再生のために戦い続ける」とした。
一方、富士フイルムは4日、「裁判所が和解案を認めるか否かの最終決定を留保し、透明性のある審理プロセスを執るとしたことは、妥当な判断である」とのコメントを出した。ただ、大株主側が起こした訴訟で、裁判所から買収手続きの一時差し止めを命じられている。これを不服として近く上訴する方針で、買収が計画どおりに進むかは依然として不透明だ。(江渕崇=ニューヨーク、内藤尚志)