富士フイルムホールディングスによる米ゼロックスの買収計画に反対してきた同社の大株主2人が7日、米ゼロックス株の評価が「1株40ドル以上なら真剣に検討する」とする書簡を公表した。大株主側が買収の条件について具体額を示したのは初めて。富士フイルム側に対し、買収額の積み増しを迫る狙いとみられる。
米ゼロックス、買収一時差し止め決定に異議申し立て
筆頭株主で著名投資家のカール・アイカーン氏と実業家のダーウィン・ディーソン氏が、ほかの株主に向けた書簡に記載した。富士フイルムだけでなく、米投資会社がゼロックスの買収に関心を示しているとの報道に触れ、「我々の意図について臆測を退けるために言うと、すべて現金で最低でも1株40ドルの値付けならば真剣に検討する」と表明した。
ゼロックス株はこの1年間、30ドル前後で推移している。1株40ドルは、7日の終値(28・46ドル)を約40%上回る水準だ。今の買収計画では、米ゼロックスが自社の株主に1株あたり9・8ドル(総額25億ドル)の特別配当をするとしているが、アイカーン氏らは「ゼロックスの価値を過小評価している」と反発。具体的に検討可能な買収条件は示してこなかった。
アイカーン氏らは同じ書簡で、自身が推す最高経営責任者(CEO)の候補ら新たな取締役が経営を握ることで「(1株40ドルと)同じか、それ以上の価値を生み出す可能性がある」とも主張。ジェフ・ジェイコブソンCEOら現経営陣の退陣も引き続き求めている。
米ゼロックスは1日、大株主2人と和解に向けて合意し、経営陣を刷新すると発表したが、その2日後に合意は失効したと主張。富士フイルムとの共闘路線に戻っている。(ニューヨーク=江渕崇)