クアラルンプールで10日、自らが率いる野党連合の下院選勝利を祝うマハティール元首相=AFP時事
9日に投票が行われたマレーシアの連邦下院選(定数222)は、マハティール元首相(92)が率いる野党連合が過半数を制して勝利した。1957年の独立以来、初めてとなる政権交代が実現し、マハティール氏が首相に就任する見通しになった。
選挙管理委員会によると開票は終了し、野党連合・希望連盟(PH)が113議席、ナジブ首相(64)が率いる与党連合・国民戦線(BN)は79議席、イスラム主義政党などその他の政党が計30議席だった。
かつて22年にわたり首相を務め、今回はナジブ氏への批判から野党に転じて選挙に臨んだマハティール氏は、10日未明に開いた記者会見で「我々は報復は求めない。やりたいのは法の支配を回復することだ」などと述べた。
一方、敗れたナジブ氏は10日午前にクアラルンプール市内で会見し、「国民の審判を受け入れたい」と述べた。
選挙戦で野党連合は、ナジブ氏による政府系ファンドの資金流用疑惑など政権側の腐敗を追及。ナジブ政権が3年前に導入した消費税の廃止も掲げ、政権交代を訴えた。与党側は堅調な経済成長などを実績としてアピールしたが、不正疑惑への不信や消費税による生活費高騰への国民の不満は根強かった。
また、81年から2003年までの首相時代に日本などの発展に学ぶ「ルックイースト(東方)政策」を唱え、強烈な指導力で経済成長を実現したマハティール氏の根強い人気もあいまって、同氏が15年ぶりに首相の座に返り咲く道が開かれた。
ただ、野党連合は選挙戦で「ばらまき」的な公約も掲げており、課題を背負ったまま政権をスタートさせることになりそうだ。(クアラルンプール=守真弓、乗京真知)