花組男役の水美舞斗=兵庫県宝塚市、滝沢美穂子撮影
宝塚歌劇団花組の水美舞斗(みなみまいと)が、10日に開演した「セニョール クルゼイロ!~南十字に愛された男」で、宝塚バウホール(兵庫県宝塚市)での初主演を果たした。
舞台は、刹那(せつな)的に生きる男の生き様をつづる物語と、南十字星が輝く熱帯夜をテーマにした2幕仕立てのラテングルーブのショー。「『この人しかこの舞台はできなかったな』と思っていただけるように、お稽古でも毎日、自分の限界を超えていきたい。曲が鳴ったら血が騒ぐ、という感じを出していきたい」と意気込む。
ヒップホップやブラジルの格闘技「カポエラ」、アルゼンチンタンゴなどの要素を採り入れ、多彩なダンスに挑戦する。「見せ場はどこになるんでしょう?」と本人も戸惑うほど、内容は盛りだくさんだ。
初挑戦の踊りばかりで、体力的にはかなりハードという。主人公のクルゼイロと自身を重ね合わせ、「毎日、生と死のはざまです。次の日の朝が来るのだろうかと思うくらい」と笑う。でも、「やっぱり踊っている時が一番楽しい」。
ファンから定評がある筋肉美にもさらに磨きがかかる。「今は一場面でゼーハーしてる。外の筋肉だけじゃなくて、インナーを鍛えないといけないと思い、体の軸を鍛えるトレーニングをやっています。抜き感がある踊りが自然と身についているといいな」と話す。
大阪府寝屋川市出身で、入団は2009年。「10年目にもなると『宝塚だったらこう』という型が染みついている。自分が作った殻を破っていきたい」。南十字星より高いところを目指し、旅を続けるクルゼイロのように。「タカラヅカ人生も同じ。今より高いところを目指して、一回りも二回りも大きくなりたい」
公演は21日まで、チケットは完売。(杢田光)