会見で記者の質問に答える審査員長のケイト・ブランシェット。右端はクリステン・スチュワート。今年は女性審査員が過半数を占める=カンヌ、伊藤恵里奈撮影
「もっと多くの女性監督がコンペ部門にいる方がいいかどうか? もちろんです」。そう語ったのは、オスカー俳優のケイト・ブランシェット。フランスで開催中のカンヌ国際映画祭(5月8日~19日)で今年、最高賞のパルムドールを競う長編コンペティション部門の審査員長をつとめる。8日の審査員会見では、昨年の米ハリウッドのセクハラ被害を機に広まった性被害の撲滅や女性の地位向上を訴える運動「Me too」に関連する質問が飛んだ。
今年はコンペの21作品中、女性監督の作品はわずか3本。その点についてブランシェットは「数年前には女性監督が2人しかいなかった」と述べ、「作品選定には昨年より多くの女性が参加した。変化は徐々に起きているが、一夜では劇的には変わらない。将来もっと女性監督の作品がコンペに入ることを期待する」と返した。さらに「女性監督たちは性別が理由ではなく、彼女たちの仕事の質が良かったからコンペ部門に選ばれている。私たち審査員も彼女たちを女性の代表ではなく映画監督として扱いたいし、そうすべきだと思う」と強調した。
審査員9人のうち、レア・セドゥやクリステン・スチュワートら女性が5人と過半数を占める。他には「ブレイドランナー2049」などで知られるカナダのドゥニ・ビルヌーブや中華圏のスターであるチャン・チェンが審査員だ。
カンヌ国際映画祭では、夜の公式上映に参加する場合は男性はブラックタイ、女性はイブニングドレスを着用するドレスコードがある。過去にカンヌでは、ドレスコードにそった服装をしていなかった女性たちが入場を断られた出来事もあった。会見では「ドレスコードをどう思うか」という質問も投げかけられた。ブランシェットは「ヒールやグラマラスなドレスは女性を祝福するためにある。魅力的に装っても、知的であることを否定するわけではない」と答えた。ブランシェットはその後の開幕式で、2014年の米ゴールデン・グローブ賞で着用したアルマーニの黒いドレスでレッドカーペットを歩いた。(カンヌ=伊藤恵里奈)