ディフェンスを振り切る川崎の藤井祐真(右)
(13日、B1チャンピオンシップ準々決勝)
チャンピオンシップ敗退が決まると、川崎の選手たちはがっくりとうなだれた。来季はDeNAに事業譲渡されることが決まっており、東芝が支えた68年の歴史に終止符が打たれた。
第1戦を失い、後がない中、PG藤井が要所でボールを奪うなどして流れをつかみ、第2戦を71―61で奪取。第3戦に持ち込んだが、最後は千葉の速い攻めに屈し、15―22で敗れた。
川崎は、東芝小向事業所の男子バスケ部を母体として1950年に創部。これまでに天皇杯で3度、国内トップリーグで4度頂点に輝いている。ただ、事業主の東芝は経営難に苦しみ、昨年12月、バスケに関わる運営からの撤退を発表した。
攻撃の中心ながらこの日計3得点に抑えられたSG辻は、「東芝時代から支えてくれたファンのために自分が(得点を)稼がなければならなかったのに、本当に申し訳ない」と涙を浮かべた。
現役時代から東芝一筋の北ヘッドコーチは「有終の美を飾りたかったが、コンディションが難しかった。選手は素晴らしいプレーをしてくれた」と胸を張った。
ファンも万感の思いで声援を送った。東芝関連会社社員の吉満謙一さんは「選手も試合がない日は一緒に仕事をしていた時代もあり、家族のような存在」と振り返り、「東芝でなくなるのは寂しいが、今日も選手たちの気迫が感じられる良い試合だった。これからも応援したい」と話した。
チームは来季以降DeNAグループに引き継がれる。活動拠点は変わらず川崎市に置くという。(松本麻美)