平成30年全国赤十字大会に出席した皇后さま=16日午前11時15分、東京都渋谷区の明治神宮会館、代表撮影
皇后さまは16日午前、東京都渋谷区の明治神宮会館で、名誉総裁を務める日本赤十字社の全国大会に出席した。人道支援や福祉に関心を寄せ、毎年全国大会に出席してきたが、来年の天皇陛下の退位に伴い、今回が最後の出席となった。
日赤の名誉総裁は、平成になる際に香淳皇后から引き継いだ。全国大会では毎年、長く寄付を続けてきた個人や団体などに「有功章」を授与し、ねぎらってきた。この日はボランティアら約1900人が集まり、13の個人と団体に有功章を贈った後、海外の紛争地域で救護活動を続けた看護師、伊藤明子さん(59)らの報告に耳を傾けた。
皇后さまは、式典終了後、伊藤さんに「人道の原則を作ってくださった方に私たちは感謝しないといけないし、それを実践に移している方たちにも感謝しています」と話したという。
明治時代に設立された日赤は歴代皇后の支援を受けており、皇后さまは皇太子妃となった直後に名誉副総裁に就任。公務の合間に日赤に足を運び、災害救援用の産着などを縫うボランティアに参加したこともある。1964年の東京パラリンピックでは、日赤関係者とともに通訳ボランティアの結成に尽力した。後に「20代の若い日に赤十字活動に触れたことは、私をその後、福祉に関する多くの人々との出会いに導いてくれたように思います」と振り返っている。
皇后になってからは毎年、日赤を通じて全国の老人ホームなどに数百本の手ぬぐいを贈っている。
来年の代替わりに伴い、名誉総裁は雅子さまに引き継がれる見通し。雅子さまはこの日、病気療養に入った2003年以来15年ぶりに全国大会に出席した。(中田絢子)