正社員と非正社員が同じ仕事をした場合に設けられた待遇差が、労働契約法で禁じられた「不合理な格差」にあたるかが争われた二つの訴訟で、最高裁が1日、判断を示した。皆勤手当や精勤手当など、一部の手当を正社員だけに支払うのは「不合理」としつつ、定年後に再雇用された嘱託社員の給与格差は容認した。判決後の会見で原告たちの受け止めは対照的だった。
この日に判決が言い渡された訴訟は、物流会社ハマキョウレックス(浜松市)の契約社員と、長沢運輸(横浜市)の嘱託社員がそれぞれ起こしていた。
ハマキョウレックス訴訟で、契約社員の代理人を務めた中嶋光孝弁護士は会見で「正規と非正規の格差を是正する、大きく前進した判決だ」と最高裁の判断を評価した。
最高裁は、二審の大阪高裁が「格差は不合理」とした通勤手当、無事故手当、作業手当、給食手当に加え、皆勤手当の不支給も不合理だと認めた。中島弁護士は「最高裁判決は、一つ一つの手当の性質や目的を確定して検討している。今後の同種の訴訟に向けて、判断の枠組みが相当程度整理された」と語った。
原告の池田正彦さんは「今までなかった手当がついたのは喜ばしい。他の非正規の皆さんがこの判決を受けて戦っていけるのであれば、進歩だと思う」と話した。ただ、正社員に対して支給されている住宅手当が契約社員に払われないことについて、最高裁が「不合理と言えない」とした点は「同じ仕事をやっているのだから、同じにするのが当たり前だ。納得できない部分があるのが、残念で仕方ない」と述べた。
一方、長沢運輸で定年退職後に嘱託社員として働く原告の鈴木三成さん(64)は会見で「大変怒りを感じるし、大変不当な判決だ」と不満をぶちまけた。「年を取っても同じ仕事をしているのに、60歳になったら賃下げをするという全くわけのわからないことを裁判所が認めた」
最高裁は同社が正社員と嘱託社…