予選を1位タイで通過した野中生萌
2020年東京五輪の新競技になったスポーツクライミングの種目の一つ、ボルダリングのワールドカップ(W杯)第5戦が2日、東京・八王子で開幕した。第1日は男女の予選が行われ、28の国と地域から159人が出場。日本勢11人を含む、男女20人ずつが準決勝に進んだ。女子は今季W杯ランキング1位の野中生萌(みほう、TEAM au)、同2位の野口啓代(あきよ、同)が1位タイで予選通過。男子はジャパンカップで今季3連覇を果たした藤井快(同)が3位タイ、16年世界選手権王者の楢崎智亜(同)が5位タイで突破した。準決勝、決勝は3日に行われる。
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4年連続で国別ランキング1位に輝いているボルダリング王国・日本。地元開催の大舞台に奮い立つ選手たちの中で、ひときわ強い印象を残したのは、女子の野中生萌だった。
「集中して、けっこう良い内容で終われたかな」。涼しい顔で振り返ったが、予選2組では設定された五つの課題を唯一全て完登する圧勝だった。
今季はスイスでの開幕戦で2季ぶりの優勝をさらうと、その後の3戦は全て2位。充実ぶりに、「全体的にベースアップした感じはあります」。東京都出身とあって、今大会はW杯ランキング1位の女王として迎える凱旋(がいせん)試合でもあった。
ただ、この日は決して本調子ではなかった。ほんの数日前に体調を崩し、発熱。大会にはぎりぎり間に合ったが「ちょっとのどと鼻が……。呼吸は常に気になります。(登っている時も)集中力が欠けそうになる」。昨夜は満足に寝られなかったという。だが、逆境に負けないのがこの21歳だ。「体調を理由にはしたくない」と、気持ちの強さと地力の高さを見せつけた。
今大会の成績次第では、初の年間総合優勝も見えてくる。3日の決勝を見据え、「100%、120%を出すだけ」と言い切った。(吉永岳央)