中日の松坂大輔投手
(8日、プロ野球交流戦 中日5―4ソフトバンク)
同点の四回2死二塁。柳田を1ボール、2ストライクと追い込み、勝負を賭けた4球目、際どいコースは「ボール」の判定。マウンドを降りかけた中日の松坂だが、冷静さは失っていなかった。
「(柳田に)打たれると勢いづかせてしまう」。ファウルで1球粘られたが、外角いっぱいのカットボールで空振り三振に。パ・リーグを代表する打者を抑えたその裏、チームは高橋の3ランなどで4点を勝ち越し。松坂の粘りに打線が応えた。5回を被安打3、1失点。104球を費やし、5月20日の阪神戦以来、今季3勝目を手に入れた。
2015年に米球界からソフトバンク入り。3年総額12億円(推定)の大型契約だったが、右肩を手術するなど公式戦登板はわずか1試合に終わった。
「今日は『いつも通りに』と思っていた時点で意識していたと思う」。結果を残せずに去った古巣との初対決で、自然と力が入った。立ち上がりは球が浮き、制球が定まらない。二回までに4四球を与え、いずれも満塁のピンチ。結局、二回までに63球も費やしたが、野選の1失点に抑えた。
左でんぶ付近に張りも感じたため、五回で降板した。「長い回を投げようと思っていた。ブルペンに迷惑をかけ、申し訳ない」と松坂。苦しみながらも最少失点に抑えた。完全復活とはいかなかったが、一歩ずつ前進する姿は見せた。(鷹見正之)