G7拡大会合に臨む安倍晋三首相。左はフランスのマクロン大統領、右は英国のメイ首相=9日、カナダ・シャルルボワ、代表撮影
安倍晋三首相は9日夜(日本時間10日朝)、カナダ・シャルルボワでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)の閉幕後に記者会見に臨んだ。不公正な貿易・投資慣行と闘い、自由で公正なルールに基づく貿易システムの発展に向けて努力することを盛り込んだ首脳宣言を取りまとめたと発表。また、米朝首脳会談に臨むトランプ米大統領の交渉を支持することで一致したとした。
サミットの会合では、鉄鋼・アルミ製品への高関税措置を課す米国のトランプ大統領と、それに抗議する首脳たちの間で激しい議論が交わされた。
米国と欧州との「橋渡し役」を自任する首相は会見で、「本年のサミットでは貿易をめぐって激しい意見のやりとりがあった」と明かしたうえで、「貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならない。いかなる措置もWTO(世界貿易機関)のルールに従って行われるべきだ」と指摘。G7の存在意義の低下や合意文書の取りまとめが危ぶまれる状況だっただけに、「首脳宣言を発出できることは大きな意義がある」「G7が一致結束し、世界の平和と繁栄をリードしていくとの決意を示すことができた」と強調した。
北朝鮮問題については、国際社会が一致して国連安全保障理事会の制裁決議の完全な履行を求めていくことで合意したと説明。安倍首相から日本人拉致問題の即時解決を訴え、すべての首脳から理解と支持を得られたとした。
トランプ氏が提案したロシアのサミット復帰にも言及し、「経済や安全保障、世界が直面する課題にしっかり処方箋(しょほうせん)を示していくためには、ロシアの建設的な関与を求めていくことも必要。私たちとロシアの双方が、その環境整備に向けた努力をしていかなければならない」と述べた。