米朝首脳会談について報じた米メディアでは「あいまいな合意」「実質的な中身はない」などと否定的な論調が目立った。韓国の13日の朝刊各紙は、いずれも1面でトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の写真を大きく掲載。しかし共同声明の内容に関して評価は真っ二つに割れた。
ニューヨーク・タイムズ紙は12日、「あいまいな合意」との見出しで分析記事を掲載。「トランプ氏が正恩氏から搾り出したものは何もなかった」と成果の乏しさを指摘した。一方、正恩氏と直接対話をしたことを評価する声も紹介した。
ワシントン・ポスト紙は、「トランプ氏と金(正恩)氏は欲しいものを手に入れた。それ以外の国は、そうでもない」との見出しで論考を載せた。会談は「実質的な中身は何もなく、非核化についても実体がない」と断じた。
FOXニュースは「トランプ大統領と金正恩(委員長)の歴史的会談は、世捨て人のような国の核開発を止める第一歩になるかもしれない」と評価した。
一方、韓国保守系紙「朝鮮日報」は「トランプ、CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)なしで『韓米訓練中断』」との見出しで、合意文書にCVIDが明記されなかったことなどを批判。進歩(革新)系のハンギョレは、社説で「巨大な変化が始まった」とし「両首脳の名前で共同声明を出したことだけでも成功だ」と評価。米朝を仲介したとして韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領をたたえた。
また、英エコノミスト誌は「会談の成果はゼロ」などとする記事を掲載。英紙フィナンシャル・タイムズも「短い合意文書は、北朝鮮の独裁者の勝利としか解釈できない」と評価した。(ワシントン=宮地ゆう、ソウル=桜井泉、ロンドン=下司佳代子)