（１５日、エジプト―ウルグアイ サッカー・ワールドカップ）

【試合速報】エジプト―ウルグアイ

後半終了間際、ウルグアイの劇的ゴールを誰よりも喜んだのが、ＦＷスアレスだった。右ＦＫを頭で合わせた殊勲のＤＦヒメネスの頭を笑顔でたたき、何度も抱きしめた。

決定機を３度も逃した。前半、右ＣＫのこぼれ球を右足でとらえたシュートはわずかに左へ。後半開始早々の至近距離でのシュートはＧＫシェナウィのひざにあたった。そして２８分、ＧＫとの１対１のドリブルを阻まれると、ピッチに倒れ込み、天を仰いだ。

２０１４年のブラジル大会は世界中に悪名をとどろかせた。１次リーグのイタリア戦で相手ＤＦの肩にかみついて大会を追放。国際試合９試合の出場停止と４カ月間のサッカー活動全面禁止などの厳しい処分を受けた。チームも決勝トーナメント１回戦で敗退した。

ストライカーとしての資質は疑う余地がない。１４年夏にスペイン１部バルセロナに移籍し、１５～１６年シーズンの得点王に輝くなど得点力にはさらに磨きをかけた。ロイター通信によると、ウルグアイのタバレス監督は「ブラジルで起こったことは人生の一部であり、彼が成熟するための教訓となった」。今大会最年長の７１歳の指揮官は、教え子の心身の成長を感じている。

チームは過去２度の優勝経験があるとはいえ、最後に頂点に立ったのは１９５０年大会までさかのぼる。古豪が再び輝くには、この日ヒーローになり損ねた３１歳のエースの精神面の安定とゴールが欠かせない。