レストランに足を踏み入れると、書道の道具が飾られており、通路の両サイドには、十二支の干支の動物を模した銅像の頭部である「十二獣首」が並べられ、その食器には「仁」や「義」、「礼」、「智」、「信」といった文字がデザインされている。山東省済南市にあるこの中国文化のムード満載の山東料理レストランの経営者は、90後(1990年代生まれ)のスイス人男性Alexander Frey(中国名は「費騰」)さんだ。彼は、グルメを通して中国のストーリーを語ろうと力を尽くし、山東料理を世界各地に広めようとしている。中国新聞網が報じた。
事務所でパソコンに向かう費騰さん。1年かけて開店の準備を進めてきたこのレストランは今、試営業に入っている(撮影・孫宏瑗)。
金髪で青い目の費騰さんは、スイス・ルツェルン出身。「Frey」と中国語の「費」の発音が似ており、自分は沸き立つ(中国語で沸騰)ような性格であるため、「費騰」という中国語名をつけたという。費騰さんはとても流ちょうな中国語で取材に応じた。
総料理長と言葉を交わす費騰さん。(撮影・孫宏瑗)
費騰さんは高校時代に中国人の友人ができ、さらに、カナダのバンクーバーでもたくさんの中国人と知り合った。そして、彼らの影響を受け、ますます中国文化に興味を持つようになったという。その後、中国についてもっと深く知るために、上海や済南などにも足を運び、中国語を学び、中国文化への理解を深め、最終的に友人の勧めもあって、済南市に住むことにしたという。
費騰さんは、当初は本格的な西洋料理を済南の人たちに食べてもらう計画で、フランス料理レストランやピザ店などをオープンした。その後、山東料理に対する理解が深まるにつれて、それを世界各地に広めたいという思いを抱くようになった。「千年以上にわたり受け継がれてきた山東料理には、歴史や文化が詰まっており、山東料理の文化を世界各地に広めることは、中国と西洋の文化交流に対する一種の貢献でもある」と費騰さん。
調理する総料理長。(撮影・孫宏瑗)
「レストランを経営していると、いろんな人に会うことができる。それも、済南の文化や山東省の儒教の文化を知る良い機会だ。みんな考え方が違い、互いにたくさんのことを学ぶことができる」と費騰さん。
西洋料理レストランで食器を並べる費騰さん。(撮影・孫宏瑗)
費騰さんは、「中国料理を海外に広めようとした場合、料理そのものだけでなく、現地の文化や伝統、風土、人情などもよく考慮しなければならない。互いに尊重し合わなければ、相手に自分が伝えたいと思っている文化を受け入れてもらうことはできない。例えば、コイの甘酢あんかけを海外で提供する時は、骨を処理してから提供するようにしている。ドバイなど一部の国の人々は豚肉を食べないので、関連の料理はできるだけ避けなければならない」と話す。
メニューのほとんどは山東料理がメイン。一部のメニューには西洋料理の要素も盛り込まれている(撮影・孫宏瑗)。
「今後、山東料理をチューリッヒやドバイ、ロンドン、サンフランシスコなどの都市で提供し、一人でも多くの人に中国のおいしいグルメを楽しんでもらいたい」と費騰さん。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年5月29日